2022年は日タイ修好135周年の節目の年で、バンコクでは様々なイベントが開催されています。そしてシリキット女王の生誕90 年であり、その記念として、タイ王国文化省芸術局の主催による「日本とタイの陶磁器交流-貿易と文化交流の永遠の伝説-」が、2022年9月14日~12月14日の期間にバンコク国立博物館で開催されています。
有田焼の名品がそろった展覧会と、9月14日、15、16日に催しのあった有田焼の里である佐賀県のPRイベント「TRIP to SAGA」の初日の模様をお伝えいたします。
イベント概要
「日本とタイの陶磁器交流-貿易と文化交流の永遠の伝説-」
佐賀県立九州陶磁文化館収蔵品より97点にあわせて、タイの陶磁器、海を渡った焼き物を展示。これらの焼き物の特徴や時代、制作工程を紹介。
期間:2022年9月14日~12月14日
場所:バンコク国立博物館 「シワモーク宮殿」
入館料:200バーツ
「TRIP to SAGA」
佐賀県のインバウンド増加を目的としたPRイベントで、観光地や特産品、食べ物などを紹介。
・ステージイベント
薩摩琵琶奏者の北原香菜子(きたはら・かなこ)氏、横笛奏者の望月美都輔(もちづき・みずほ)氏によるライブ演奏。
・ワークショップ
有田焼絵付け、陶片アクセサリー作り
・有田焼の販売
会場にて有田焼の食器などを販売。
期間:9月14日~9月16日10時~16時
場所:バンコク国立博物館 セミナールーム
入館料:無料
有田焼展覧会の様子
シリキット女王の生誕90 年を祝う展覧会で、故プミポン前国王とシリキット女王の記念陶器のある展覧会入り口。
焼き物の歴史とその流通の年表を見ることができます。
地元タイ人、観光客らしき人々などが訪れ、作品を興味深く鑑賞しています。
染付、色絵など17世紀から近代に至るまでの名品がならびます。
1670年代の美しい染付の唐草文水注。青磁も良い色合いです。
有田焼の作業工程を再現したセットが作られています。
こちらは絵付け段階の部屋の再現。
染付の大皿。呉須のコバルトブルーはまだ不純物が混ざった黒っぽさのある藍色です。絵柄は初期に比べ細かくなりつつあり、制作時期の特徴が感じられ味わいがあります。
東インド会社のVOCのマークが入った染付の皿。東西陶磁貿易では17〜18世紀には123万個を超える数の作品が輸出されたといわれます。
柿右衛門様式の絵皿。色絵の中でも乳白色の生地に余白のある構図は日本人の独特な美意識が凝縮されています。
今回の展覧会の告知でも取り上げられた童子の作品。時代が経っても活き活きした表情は後世も変わらないですね。
19世紀のものになると絵柄もかなり緻密になっています。
登り窯など窯の模型がセットされています。
タイの焼き物の歴史のコーナーです。タイの各地の窯跡などが地図でわかります。
ナーガなどのタイのモチーフがならびます。
タイの焼き物の歴史がわかるシーサッチャナライの窯跡や国立博物館をまわったときの記事です。是非あわせてお読みください。
タイの現代アート作家のデザインによる、日タイの魚紋の壺が展示されています。タイの魚と日本の鯉の絵柄が対で作成されました。
日本の現代作家の作品も展示されています。こちらは井上萬二の白磁。
14代酒井田柿右衛門の色絵壺
色鍋島の14代今泉今右衛門の作品。
大展示室では海を渡った陶磁器がセットとともに展示されています。
欧州で好まれる絢爛豪華な絵柄の陶磁器。
日本とタイの食膳風景のセットがあります。
日本食が映える染付の器。
タイの食事にあった文様のある器。
衣装が用意されており、セットとともに写真撮影ができるようです。
TRIP to SAGAの様子
博物館横のセミナールームで有田焼の展覧会にあわせて、有田焼の里である佐賀県のインバウンド活性化イベントのTRIP to SAGAが、開催されました。会場内では佐賀県の特産品や観光地などのパンフレットなどが配られ、佐賀県のアピールが行われました。
薩摩琵琶奏者の北原香菜子氏、横笛奏者の望月美都輔氏によるライブ演奏がありました。黒田節など九州の唄や、各楽器の奏法などが紹介され、30分にわたる見ごたえのあるステージとなりました。
佐賀県のアピールタイムでは、タイ人観光客誘致のため、佐賀県の観光地や食べ物がビデオとともに紹介されました。特に朝市など海産物が映し出されると会場から感嘆の声が漏れるなど、日本食人気が伺えます。
バンコクで見る有田焼
福岡県出身の自分としては、バンコクで有田焼のイベントを見ることがきるなどなんとも嬉しい限りの企画です。日本の伝統芸術とともに、異国で思い出す日本での時間、そして有田焼を熱心に鑑賞しているタイ人の方々の様子を見ることも新鮮です。
12月まで開催されているので、こちらに在住の方はもちろん、観光で来られた方も、旅先で見る素晴らしい日本の陶磁器と、日タイ交流の歴史にふれることができる同イベントに是非足を運んでみていただきたいです。
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