2019年の9月にカンボジアのプノンペンに行ったときのこと、ひったくり被害に遭ってバッグを盗まれてしまいました。海外生活も長く、旅慣れており注意も基本できているつもりでしたがやられてしまった!この記事は注意喚起としてその時の状況を詳しくお伝えするとともに、カンボジアでの犯罪の種類や、ひったくり被害に遭わないように防犯対策をまとめたものです。
現在のカンボジアの治安
カンボジアで起こっている犯罪の種類と件数
カンボジアでは以下の表にある犯罪が起こっています。最も多いのがひったくりで全体の40%を超えています。 次に多いのがスリ・置き引きなどの窃盗で、日本人のズボンの後ろポケットにスマホや財布を入れて歩くなどは格好のターゲットとなります。また、一番怖いのが強盗で、複数の男たちから暴行を加えられ持ち物を盗まれたり、ATMで現金をおろしたところをいきなり後ろから殴られ現金を奪われるなどがあります。その他トランプ詐欺など賭博に誘われて多額のお金をまきあげられるケースがあります。
在カンボジア日本大使館・領事事務所への事件・事故被害などの報告件数
2018年1月~2019年9月
ひったくり | 87件 |
窃盗 (置き引き,スリを含む。ひったくりを除く) | 33件 |
疾病(死亡を含む) | 25件 |
いかさま賭博 | 15件 |
困窮 | 11件 |
空き巣・忍び込み | 7件 |
強盗 | 7件 |
詐欺 (いかさま賭博を除く) | 6件 |
交通事故 | 3件 |
暴行 | 2件 |
水上事故 | 1件 |
(引用元:在カンボジア日本国大使館)
プノンペンの犯罪の多発している場所
リバーサイド
私が被害にあったのもリバーサイドで、ここはで犯罪が多発しています。シンワットキーとよばれるトンレサップ川沿いは外国人向けのレストランやバーのあるエリアで、人も多く賑やかで一見安全そうに感じますが、実は犯罪率が高い場所です。
王宮
同じくリバーサイド付近ということになりますが、多いのが王宮をスマホで撮影するのに気を取られているところをバイクで近寄って来てひったくられるといったものです。またトゥクトゥクの運転手とグルになっているケースもあります。
ワットプノン
観光地であるワットプノンの昼間は特に問題ありませんが、夜は強盗がでるため非常に危険です。きれいなライトアップを独りで撮影しに行くなどはやめましょう。
この他マーケットなど人の多い場所は他の国同様スリ、置き引きが多くいます。
プノンペンのバイク2人組によるひったくり被害
プノンペンで最も多い犯罪で、現地在住者も被害に遭っているのがバイクによるひったくりです。私もこれにやられました。手口は2人乗りしたバイクで背後から来て通り過ぎるときにスマホやカバンをひったくって逃げて行くというもの。
一番多いのがスマホを盗まれるケースで、道路脇でスマホを出してマップを見たり、撮影をしたりしているところをひったくって行きます。
また、トゥクトゥクに乗ってスマホを見ているときも横からバイクで近づき、スマホやカバンを掴んでそのまま逃げてしまうというケースもあります。まさかトゥクトゥクに乗っていて盗まれるなど思いもよりませんが、実際に現地のカンボジア人ですらこの手の被害に遭っています。
プノンペンでのひったくり被害〜私の場合
場所と時間
リバーサイドにあるナイトマーケット付近の通り
23時くらい
事件当日の流れ
ひったくり被害に遭ったその時の状況
プノンペンの初日、23時過ぎくらいにリバーサイドのナイトマーケット方向から屋台などのある場所へ行くため通りを歩いていました。通りは飲食店やバーもあるので、特別暗い路地というわけもなく、バンコクにいるような感覚でたすき掛けのショルダーバッグを後ろに回していました。
すると後ろからいきなりバッグのストラップを掴まれたかと思うと、次の瞬間には肩からバッグが無くなっており、前方に私のバッグを持ってバイクの後ろに乗っている若い男の姿が見えました。
一瞬何が起こったかわからず、間があってすぐに「やられた!」と気づいて走って追いかけるも後の祭り、繁華街の角を曲がってすぐに見えなくなりました。
頭は真っ白になり呆然。まさかこの旅慣れた、しかも何年も東南アジア在住の自分がひったくりに遭うとは思いもよらないショック。バッグもたすき掛けだったので安心しているところがありましたが、エナメル製でやや古くなっていたのか簡単に引きちぎられてしまいました。
ホテルへ戻る
盗られたものは仕方ないとなんとか自分に言い聞かせ、とりあえずホテルに戻ることにして冷静にカバンの中の内容を思い出してみました。不幸中の幸いで、いつもならクレジットカードを2枚持ち歩いているのに、プノンペンに着いた時からなんとなく街の雰囲気が悪く嫌な胸騒ぎがあったので、パスポートはもちろんクレジットカードもセーフティボックスの中に入れていたことを思い出しました。
しかし、iPhone SE、一眼レフカメラ、現金およそ2万円を盗られてしまい、失意の状態でリバーサイドのホテルに戻るとホテルのカードキーもバッグの中だったため、ホテルのスタッフに事情を話し、カードキーを再発行してもらい、ホテルのスタッフが明日警察まで付き合ってくれるとのことだったので時間を決めて部屋に入りました。
さすがにスマホとカメラを盗られてしまったのでは取材もできないですし、何より気分がすっかり滅入ってしまっていたのでよっぽどバンコクに帰ろうかとも考えましたが、初日ですし、このまま帰国したのではプノンペンについてよく知る機会を失ってしまい、悪い印象だけ残って来なくなってしまうのではないかと思い、頑張ってプノンペンに残ることに決めました。
ベッドに入ってもまんじりともせず、明け方に近い時間、外で男の大きな叫び声がした後走っていくような音が聞こえます。何か事件があったような雰囲気です。不安を掻き立てられますます寝づらくなり、そのまま翌日の朝を迎えたのでした。
事件の翌日
現地警察への被害届と賄賂
翌日ホテルのスタッフがトゥクトゥクで警察へ連れて行ってくれました。被害にあった現場に近い小さな警察署です。ゴツい警官ともう1人上役っぽい警官がいて、そのゴツい警官が調書をとりました。クメール語でのやり取りだったので、ホテルのスタッフがいないとさっぱり何を話してるかわかりません。質問を英語で翻訳してもらったところ、現場がどの辺りだったかもっと正確に伝えろとのことで、わざわざトゥクトゥクの運転手に現場を回ってもらい、似たような通りばかりで夜とは印象が違いましたが、現場を特定し、もう一度警察署に戻って伝えてもらいました。
被害届の作成に入ります。私の名前やパスポートの情報を記入したら、英語で事件の内容を記入するように言われ、時間と場所、盗まれたもの、そしてバイクの2人組から背後よりひったくられた当時の状況を記入します。記入が終わると赤いインクで親指の拇印を書類に押すよう言われました。付き添いのせいなのかホテルのスタッフも要求され、仕方なしに拇印を押していました。なんだか申し訳ない。
最後にホテルのスタッフから1人10ドルずつこっそり渡すよう言われます。やはりありましたね、「賄賂」。ホテルのスタッフに連れて行ってもらう時点で取られるとは思っていましたし、日本在住の方からすると自分なら絶対払わないとおっしゃるかもしれませんが、お金を渡さないと彼らはなかなか動かないですし、決して賄賂を容認するわけではありませんが、こういうことはタイで慣れていますのでお金をさりげなく置いて100%帰ってくる見込みのない警察への届け出を完了しました。
ポリスレポートの作成と賄賂
これで終わりかと思いましたが、通常トラブル時は警察の後イミグレーションオフィスに行って書類を作らないと保険がおりないとのこと。どうやら私は当初警察で作成してもらった書類をポリスレポートと思っていましたが、そうではなく前述の書類は被害届で、それを元にポリスレポートを作成してもらう流れのようです。小さなオフィスに入ると先客がいてちょうど机の下から役人にお金を渡していました。また賄賂かと思いつつもこれを途中でやめると今日費やした時間とお金の意味がないので仕方なく作成を依頼。役人は自分からは賄賂を要求しません。トゥクトゥクの運転手が賄賂は5ドルだと言います。さっきより少しお得なお値段(笑)警察署と同じように英語で当日の詳細を記入してポリスレポートの作成が完了。ここでも拇印を書類に押します。なぜいちいち拇印なのか拇印文化があるのか不明ですね。こんなものが法的効力などあるとは思えませんし、指のインクが落ちなくてとても面倒。
ということで、やっと被害届とポリスレポート作成は終了です。ホテルまで戻ってトゥクトゥクの運転手に通常の相場よりもはるかに高い料金を払って、賄賂ツアー案内人のホテルのスタッフにもチップを渡そうとすると受け取ろうとしない。彼は賄賂について不快さをあらわにしていましたし、報酬について何か恥じるような雰囲気でしたので、無理に渡すことはしませんでした。何かしら警察や役人との取引があるのでしょうが、なんだか拇印まで押してもらって申し訳ない感じです。
あと、ホテルの部屋のカードキーも盗まれたので、カードキーの情報は変更されているのかホテルのスタッフに尋ねると同じだそうで、その気になれば犯人は入って来れます。気持ち悪いので部屋を替えてくれるよう頼むと快く替えてくれました。
ポリスレポート作成の意義
クレジットカードを盗られたわけでもなく、海外旅行保険が使えるわけでもないのに、なぜこのように賄賂まで払ってポリスレポートを作成してもらったかと申しますと、これは確率的にかなり低いことではありますが、ロックしたスマホから個人情報を入手され、クレジットカードや銀行口座のお金などを使われてしまった場合に備えて盗難にあった証拠を持っておく必要があると考えたためです。念の為ですね。幸いポリスレポートを使用することは無く戒めの記念品となりました。
(余談)活躍してくれた中古iPhone5
初日にスマホとカメラを盗られ、連絡もノートパソコンからしかできず、しかもLINEはスマホからアクセス許可をオンにしないと使えないという心細い状況。新品のiPhone8でも買おうかと考え、イオンに行って値段を見てみますと10万円超え。とてもじゃないけど買えないなと思い、カメラを見に行くも間に合わせに買うには種類も少ないしもったいないので、iPhone5あたりを中古で安く買うのがベストだと考えました。
トゥクトゥクの運転手に中古のスマホでiPhone5を売っているところへ連れてってくれと頼むと、イオン前の中古ショップに連れて行かれました。運転手がお店に問い合わせてくれたところ、ちょうどiPhone5の在庫が一つあって日本円で7000円くらい。まずまず想定していた範囲の値段でした。しかしこのiPhone5、カメラを使うとシャッター音がするところを見ると日本で使用していたやつ?というか高確率で盗品なのでは?と思いつつ、ちゃんとSIMが使えるかそのお店で一番安いSIMを入れてみると使えたので購入。バッテリーがすぐに無くなるけど、これが結構旅行中頑張ってくれました。ちょうど時期的にiPhone11 がタイで発売になるタイミングだったので、バンコクに戻って値段が落ちたiPhone8を購入したためもうこのiPhone5を使うことは無いのでこれも記念品となりましたが、やはりデザインはこの頃のiPhoneが圧倒的にいいですね。ありがとうiPhone5!
もう一度見直そう。安全対策の基本
・スマホを外で極力使用しない。財布や現金を外で出さない。スマホを使うときは周囲に人がいないかよく確認してから使う。スマホで写真撮影をする時や、トゥクトゥクなどに場所を伝える時はGoogleマップなどより口頭や紙で伝える方が望ましい。
・たすき掛けのバッグでも安心できない。ストラップは短くしてバッグは後ろに回さず前にくるようにする。私はひったくりに遭ってからプノンペンではバッグは持たずに動きました。
・周囲を警戒する。通りを歩く時はバッグを道路側に持たない。特に後方からのバイクは気をつけなくてはいけない。また、同じバイクがいつまでも自分の周りをうろついている時などはひったくりのタイミングを狙っている可能性が高い。
実際同じバイクがいつまでも自分の近くでノロノロ運転していて邪魔に思いながらiPhoneで撮影をしているといきなりひったくられたというケースがあります。
・トゥクトゥクに乗った時はスマホを見ない。特に停車中は危ない。また、バッグなどもなるべく後の外から手の届かないような位置に置く。空港などへはドアなしのトゥクトゥクは利用しない。乗降時は狙われやすいので注意。
プノンペンのひったくりを防ぐため上記のような点を徹底しましょう。これは海外で犯罪に遭った方はみんな言ってますが、「自分は犯罪には遭わないだろう」という過信です。海外ではいつ犯罪に巻き込まれるかわかりません。そして慣れた頃が一番危ないということを今回は嫌というほど思い知らされました。海外での時間を安心して楽しめるように、防犯対策が当たり前になるよう癖をつけましょう。
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