美しく輝く臓器の中に足を踏み入れたようなラッカーアート　Oanh Phi Phi 個展“INTERFACE”

2019年5月10日〜7月21日の期間、ホーチミンのThe Factory Contemporary Arts Centreにて、Oanh Phi Phiによる個展“INTERFACE”が開催されました。大型のインスタレーション作品2つと、壁には6個の立体作品が展示され、特にアーチ型の洞窟を思わせる作品ではオーディエンスが作品内部に入ることが可能で、外観とはまた違う光沢に包まれた「彫刻としての絵画」を鑑賞することができました。

1. 身体の器官に類似したアートワーク
2. Oanh Phi Phiのラッカーアート
3. “INTERFACE”2つのインスタレーション作品
- 3.1. Specula
- 3.2. Palimpsest
4. オーディエンスが作品の要素となる体験型アート
5. 作家プロフィール
- 5.1. Oanh Phi Phi
  - 5.1.1. Education
  - 5.1.2. 主な展覧会
6. ギャラリー情報
- 6.1. マップ

身体の器官に類似したアートワーク

Oanh Phi Phiのインスタレーション作品は身体の器官に類似した、「形」、「皮膚」、「接合点」であり、保護と目的、そしてアイデンティティであるといえます。

人間の臓器が絶えず物質を処理しているように、これらのインスタレーションも絶えずその環境を処理しています。ガラス張りの床を軽く踏み、漆塗りのきらめく壁と天井に近づき、また小さなプロジェクターが隣接する壁で大きく拡大するガラスの顕微鏡を見ることができます。

Oanh Phi Phiのラッカーアート

Oanh Phi Phiの芸術は、ラッカー、光、動きの関係で成立しています。油絵のテクニックを学んだ彼女は、ラッカーに畏怖の念を抱き、過去15年間絵画の分野におけるラッカーの歴史的および理論的な芸術の実践へと発展させました。彼女は多次元と感覚的な光の屈折が織りなす現代のデジタル表現の相乗効果で、深い触覚特性を持つ素材である「新しさ」を持った媒体としてラッカーに結びついています。

“INTERFACE”2つのインスタレーション作品

Specula

2007-2009年の2年間に渡って作成され、さらに2019年に装飾された本作品。作家自身が「絵のインスタレーション」と呼び、没入感（体験を意味する）を表現するために、慎重に構築された複合パネル上にある複数のレイヤーを持ったアートワークです。

ラッカーのレイヤーが屈折し絶えず変化する色彩を与えるのは、光で影や中断を引き起こすオーディエンスの存在は、この立体絵画の空洞を解釈するインターフェースとして機能しています。過去の次元を記録する洞窟のように感じる作品の中にいる私たち自身の存在も、作家にとってこのアートワークを表現する重要なパーツとなります。

Palimpsest

作家の開発した非物質化されたラッカーイメージ。スクリーンに画像を投影するために設計したラッカースコープでスライドを映し出します。顕微鏡を通して見える画像を連想させ、肉眼では見えない宇宙のマクロまたはマイクロビューを提示します。

ラッカーはその物理的な表面だけでなく、透明フィルム、ガラス、投影光など他の補完的な材料と融合した形を持ち、性質を失い、物理的な物質から解放されます。

オーディエンスが作品の要素となる体験型アート

存在感のある2つのインスタレーションが設置された会場は、アミューズメント的な好奇心もそそられる絵画のオブジェでした。オーディエンスが関わることで様々な影や光の変化があるため、作家のことばが表す通りオーディエンスとの関わりが作品の重要な要素の一つとなっているのがわかります。美しい「臓器」の輝きは写真を撮らずにはいられない魅力あふれる絵画の彫刻でした。

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