政治的活動家のような鋭い雰囲気を持ったアーティストLuckyleg。タイの政策に対してアーミーを思わせる色彩を持ったプロテストアートを展開しています。その作品はギャラリーからストリートに及び、ゲリラ的に見るものに訴えていきます。2019年の5月から7月にかけて、バンコクのKALWIT STUDIO&GALLERYにおいてグループ展”Speaker shop”を、そしてBANGKOK ART AND CULTURE CENTRE・People’s Galleryにおいて個展”FAKE ADVERTISING”を立て続けに開催し、勢力的に作品発表を行いました。それらの展覧会場の様子とともに彼の作品についてご紹介していきたいと思います。
Luckylegの作品コンセプト
改革、組織化、改善、紛争、過去から将来に至るまでそれらを整理していく政策。それは所定の体制に従って行動するように人々を洗脳するための手段として機能する宣伝文句。質の高い生活、現代性、出世そしてさまざまな形態の権利について夢を見せるのです。しかし人々はどうでしょう、プロパガンダとは矛盾して道に迷っているかのようです。
Luckylegの目的はアナロジーとメタファーを使い、現在の状況に置かれた人々について既存の言葉やイメージとは反対のポスターに変換することです。記号論、想像力、そして概念を通じて、政治的抑圧、拘束、非道徳的行為、制限、欺瞞などの下で人々の歴史を表現していきます。
Luckylegの作品
“Speaker shop”と”FAKE ADVERTISING”において発表された彼の作品の中でも印象的な2作品とストリートアートをご紹介します。
REFORMATION
160×130 cm
2018
ヘッドマウントディスプレイを装着し、さまようように同じ方向へと歩く人々。彼らが向かうのはどのような未来でしょうか。ディスプレイに表示されているのは「4.0」の数字。これはThailand 4.0がモチーフとなっているようです。食品産業、農業、バイオテクノロジー、デジタル、人工知能、クリエイティブ産業が協力することで新しくより良い未来を達成することを提唱したこの戦略は、ヘッドマウントディスプレイが見せるようなバーチャルな幻想であるというアイロニカルな解釈が可能です。そして唯一ヘッドマウントディスプレイをしていない顔をマスクで覆った人物は他ならぬ作家自身であるようです。
Freedom of artist
150×100 cm
2018
この作品でも同じ人物が登場しています。マスクで顔を覆い、筆を持った画家。そして後の二人も顔を覆っており、マイクを持った演説者、そしてギターを持ったミュージシャンが描かれています。それぞれが手にしたアイテムは、政策に対するプロテストの表現手段であることを意味しています。
ストリート作品
彼の表現のフィールドは本来ストリートにあるようです。過去ストリートでラップミュージシャンとのコラボレーションも行われています。
同一テーマで描かれたストリートアートは、街の風景の中に溶け込み、風景そのものが一つの作品のようです。
疑いを持たぬことへの警鐘
現在都市化が加速しているタイはASEANでも中心国の立ち位置にいますが、国民的にはまだ自分にとってショップのプロモーションのように有益を感じる甘い言葉には傾きやすく偏る傾向があります。Luckylegはそんな人々に対して尖った表現で警鐘を鳴らしているアーティストの一人です。作品を見ていると、やはりギャラリーよりもストリートが似合っているように思えます。今後はもっと広い空間の野外を使って、その区画が作品となるような大作とともに、再び音楽との共演を見ることができる機会が来ることを期待します。
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作家プロフィール
Luckyleg
1991年生 タイ
展覧会
2019
– Art Group Exhibition “Speker Shop ” At Kalwit Gellery Bkk
2015
– Art Exhibition The Sis “67 Richter” BFA of Faculty of Panting Sculture and Graphic Arts Gellery
At Sillakorn University
– Art Exhibition “nguyen” Thai-Vietnum Artist At Tadu contemporary art gallery bkk 2557
– Art Exhibition 2+3=1 brown sugar
– Art Exhibition “zodiac” lungrang bar bkk
– Art Exhibition “ Thai Footpath Art Competition (Auntist) , (Sina
Exhibition)” At WTF Bar & Gallery bkk
2012
– Art Exhibition “raelmita” At Faculty of Panting Sculture and Graphic Arts Gellery At Sillakorn University
Wittayawiroj Solo
Current work period in the last 2 years Interested in creating a society that has a social reflection, political, human rights, criticism in the form of street art and music (rap).
