Silpakorn UniversityでSculpture and Graphic Artsを専攻し同校卒業後、バンコクを中心に絵画や彫刻の展覧会活動を開催する若手作家Ong-Arj Loeamornpagsin。うねりのある重厚なタッチで描かれた絵画や、デフォルメされた人物が様々な表情を浮かべている彫刻を作成しています。現在彼の作品が常設されているバンコク郊外のクリエイティブスポットChangchui Creative Parkにてアーティストと作品についてご紹介させていただきます。
Changchui Creative Park展示スペースの様子
Changchui Creative Parkのウェアハウスのような現代アートと相性の良い展示スペースは、作家曰く作品照明の映える日没からの時間帯がおすすめだそうです。陰影のついた作品の人物は生命を持っているかのように展示空間の中に溶け込んでいます。オブジェなどは天井から吊るされたり、設置されたレトロな家具に置かれており、展示スペース全体が一つの作品として捉えることができるような効果を持っています。
Ong-Arj Loeamornpagsinの作風について
室内に入ると圧縮されてしまったかのようなフォルムの人物が、大きく目を見開き断末魔のような表情を浮かべています。Ong-Arj Loeamornpagsinさんの作品は審判を感じるシリアスな面を持ちながらも、コミカルな風刺画を見るような親しみが感じられます。
彼の作品は社会学や人類学、そして哲学を反映しており、作品に登場する人物たちは、無意識下の誤りを彼ら自身の知識の発達の条件として含んでいるため、彼はこれを正していく必要を説いています。知覚されていることへの解釈、それは私達の今日の在り方に強い可能性を与えていると認識できるでしょう。
彼は作品への解釈をオーディエンスに委ねます。感じたとおりに作品を鑑賞してもらいたいと語っています。
展示作品
馬の背中には多くの人々が乗っています。この馬は人の人生を表しており、誕生から受難や欲をむき出しにしながら一生を終える過程が哲学的に描かれています。背景には仏教的なモチーフが見られます。
生まれた時は無垢の状態ですが、生きていくうちに様々な欲を知っていきます。四方から中央を囲んでいる白い頭部の彫刻は無垢の状態を表します。そして真ん中にはもう白には戻れない己について批判にさらされているかのような一つの顔が苦悶の表情を浮かべています。
人の誕生を描いた物語的な題材の作品。この世に生まれ落ちる人、または仏教的な教えが示す場所への転落でしょうか。その両側には異形の生き物が木の上、人の体の上に描かれており、人間の世界と異界とが示されています。
ウロボロスのような連続性
とても気さくな人物のアーティストOng-Arj Loeamornpagsinxさんの作風は意外にも荒々しく、人物の表情は険しいものや断末魔のような形相で描かれており、欲望や行いの報いが自らに降り掛かる負の連続性としてのウロボロスを想起させます。徳を積む仏教的な考えを風刺的に表現する作風が今後はどのように変わっていくのか楽しみなアーティストの一人です。
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作家プロフィール
Ong-Arj Loeamornpagsin
1977年 バンコク生
Education
2002 : Bachelor of Fine Arts, Faculty of Painting,
Sculpture and Graphic Arts, Silpakorn University.
個展
2009 : Have a Look, Number1Gallery , Bangkok
2010 : DON’T IMPORTUNE, I’M WILLING, Number1Gallery,Bangkok
2012 : No use importuning bear to be the bearer. (It’s the willing of man) , Number1Gallery,Bangkok