黒や朱の生地に繊細な文様が描かれ落ち着いた光沢で魅了するミャンマーの漆器。ミャンマーを代表するこの伝統工芸品の歴史は古く、王族にも好まれたその高い工作技術は受け継がれながら現代でも日常的に使われています。小物入れの蓋物や茶碗などミャンマーのお土産としても人気の漆器についてご案内いたします。
ミャンマーの漆器の歴史
日本では縄文時代の副葬品が出土していますが、ミャンマーの漆器の歴史も古く、その起源については諸説あるようで、16世紀にビルマ王朝のバインナウンがマニプルやチェンマイ、中国の雲南省などを征服したときに職人を連れて帰ったのがはじまりという焼き物の歴史のような起源や、9〜13世紀のパガン朝時代の遺跡で壁画に漆器が描かれていたなどの話もあるようです。
ミャンマーの漆器は日本にも室町時代中期(15世紀頃)に伝来しています。装飾豊かなキンマを入れる漆器が香入れとして主に茶人たちに人気を博したようです。
ミャンマーの漆器の製法
ミャンマーの漆器は素地の多くが竹です。細かく竹を割いて巻いていったり、編み上げたりして器のかたちにします。また、馬の毛を編み込んだりする技法もあります。
器が出来ると漆を塗り、その上から布を貼り、また更に漆を何度も塗っていきます。そして伝統的な絵の装飾を施し、1週間ほどかけて乾燥させると更に上塗りをするという作業を繰り返すため、一つの漆器が出来上がるまで2月以上を要する非常に手間隙のかかった工芸品です。
この他、樹皮を塗った上から彫刻を施す技法を使った漆器は、表面に凹凸が生れ味わいのある仕上がりになります。
ミャンマーの漆器の産地
ミャンマー最大の漆器の産地はバガンです。観光地としてもミャンマーで最も人気のあるところですね。前述のパガン朝の王族によって大量に生産されたことが大産地として確立する所以だったようです。
ヤンゴンで見かけた素敵な漆器
現在でも日常的に使用されている漆器。レストランなどでもよく目にします。
ヤンゴンで実際に食器として見た中でとても印象的だったのがストランドホテルのミャンマーハイティーの料理が入った重箱です。骨董品のような漆器は所々欠けた部分があり、光沢も年季が入った美しいツヤがあります。
こちらはRiver Galleryに展示されていた漆器の茶碗です。色彩がきれいで和のテイストを感じます。
ヤンゴンで漆器を買う
ヤンゴンで一番手軽に漆器を手に入れるならボージョーアウンサンマーケットでしょう。茶碗や大きな蓋物から小さな小物入れまで様々な漆器が売られています。
2階にあるお店の漆器買茶碗です。センスの良い色と文様はつい一つ欲しくなります。一つ9000チャット(約630円)くらいでした。
サイケな感じすらおぼえる蓋物
減少していく漆製造業
現在、漆製造業は絶滅の危機に瀕しているといわれるほど減少が加速しているようです。バガンなどの職人たちがより稼げる仕事に流れてしまい、手工業の担い手が減少しているためです。先進国のミャンマー投資ブームもあり、ミャンマーの人々の関心が観光業に流れてしまっているようです。このため漆器の生産量が落ち、フェイクが出回るなどの残念な事例も起こっているそうで、職人の世界はどこもこういった難しさを抱えていることを痛感させられます。
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