タイの山岳民族の中でも有名な首長族といわれるカレン族は、タイ北部メーホンソン県のミャンマー国境に集落が多くありますが、実際会いに行くとなるとチェンマイから車で5時間はかかる困難な道のりです。でも観光都市チェンマイには、市内中心部から車で30分くらいで行くことができるカレン族の村が2箇所あります。遠いメーホンソンまで行かずとも、自然の中で暮らすカレン族の住居や、その様子を日帰りで見学できるカレン族の村について詳しくご紹介いたします。
首長族について
首に金色の真鍮を巻いて首を長く見せるため、その見た目から首長族とよばれるカレン族はタイ、ミャンマーの山間部に居住する民族で、主にタイ北部のメーホーソン県と、ミャンマーのカヤー州、シャン州に暮らしています。首に真鍮を巻くのは女性のみで、男性はいたって普通です。
本当に首が長い?
首長族といわれていますが、実際に首が伸びて長くなっているわけではなく、真鍮コイルによる顎の平板化や鎖骨にかかる加圧によって首が際立って長く見えるということのようです。
なぜ首を長く見せるのか?
口頭伝承によると、精霊の怒りに触れてしまった村に虎が送り込まれ、女性ばかりが虎から喉を噛み千切られたため、女性を守るため首に金属を巻いた。
また他の虎がらみの伝承では、虎の群れが村を襲ったため、シャーマンが女性に首輪をはめて祈祷をした。などがあります。
現代の認識では、伝統美のため、または部族外の者による姦淫や略奪の防止、現実的なところでは観光収入のためであるなどがあげられます。これら諸説あるように、はっきりした理由は特定できていないようです。
カレン族やその他の山岳民族にも会える「Baan Tong Luang(Long Neck Karen Camp)」
Baan Tong Luangはチェンマイでカレン族やその他の山岳民族に会える村です。2003年、Mr.Choochart Kalamapijitによって設立されました。農業と手工芸によって収入を得るためのプロジェクト計画で、Choochat Kalanapijitの財団も村の支援に参加しています。
観光地としてつくられた村なので、彼ら本来の暮らしであるとはいえませんが、部族によって異なる衣装や手工芸品、そして自然の中を散策しながら各部族の住居や生活の様子を見ることができます。
Baan Tong Luangの民族
ラフ族
パドン族
パロン族(ロングネックカレン族)
ヤオ族
アカ族
カヤウ族
モン族
ホワイトカレン族
首長族観光に対する批判
個性的な外見のカレン族など山岳民族が集まった興味深い民族村ですが、かつてこの首長族観光について、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)から「人間動物園」だと批判がありました。ちょっと衝撃を受ける言葉ではありますが、彼らはここで暮らすことで、生活の安定が保障されているのも事実。こうした意見があることも踏まえつつ、この民族村を見ていただけたらと思います。
Baan Tong Luangへのアクセス
Baan Tong Luangへの行き方は、車かツアーになります。車はタクシーか、ソンテウで、いずれも交渉になります。かかる時間はおよそ30〜40分。
乗車賃は300バーツくらいが目安。私のときは、ソンテウに2つの首長族の村をまわってもらって、2人であわせて500バーツで交渉しました。1人250バーツなのでまあ安かったのではないでしょうか。
マップ
Baan Tong Luang村内を散策
受付で入場料500バーツ払ってチケットを買ったらこちらの入り口へ。雰囲気のある門ですね。
各小屋で手工芸品を売っています。小さなお店番 ^_^
並んでいる工芸品を見ているとそれぞれ配色や模様が違いますね。
こちらはピンクの衣装がきれいですね。他の小屋の工芸品よりカラフル。
開けた場所に出ると田園が広がっています。
なんとなく日本の田舎を思い出す懐かしい風景。
教会がありました。宗教については完全にアニミズムであると思っていましたが、キリスト教徒もいるのでしょうか。意外です。
各民族はこのように分かれています。ここはアカ族のエリア。
中に入るとこのような傾斜になっていてそこに家がありました。
首長族のエリア カレン族に会う
カレン族のエリアです。道が広く、お店も見やすい。やはり多くの方はカレン族目的で来るのでメインの場所という印象です。
カレン族の女性が機織りをしていました。布は他の民族のように刺繍が目立つ感じではなく、全体的にシンプルで、ポイントで刺繍をあしらった感じです。
それにしても驚いたのはカレン族の女性がとても美人だったこと。足にも巻かれた真鍮と膝下の布が素敵です。
花をあしらった被り物は他の民族に比べ女の子らしくてかわいいですね。
首長族の彫り物などのお土産物がありました。わかりやすくていい記念になるのでは。
基本情報
Baan Tong Luang
住所:36/1 Moo.9 Baan Maemea T.Maeram A.Maerim, Chiang Mai 50180
入場料:500バーツ
営業時間:9:00 – 18:00
カレン族の村 「Long Neck Karen」
Long Neck Karenへのアクセス
Baan Tong Luangから車で15分少々の場所にもカレン族の村があります。こちらもその他の民族がいます。Baan Tong Luangほど広くないので、時間をかけずにまわることができます。
マップ
Long Neck Karenのカレン族
道の両側に布や洋服がたくさん売っています。
手工芸品もありまました。でもこの村では布や洋服が主体のようですね。
この女の子はミャンマーの自然化粧品のタナカを顔に塗っていて、ミャンマーからのルーツを感じさせます。
こちらの小さな女の子もタナカを塗っていました。しかもなんとなくアーティスティック。
日本人のようなかわいい女の子がいました。やはり中国国境に近いせいか、東アジア系の顔の人が多いですね。
スカートもこちらの村ではロンジーのような長いスカートでした。
ミャンマーのルーツを感じる自然は化粧品タナカや、ロンジーについて興味のある方は以下の記事を御覧ください。
ミャンマーの自然派化粧品「タナカ」の使い方とお土産に人気のタナカ石鹸やタナカローションについて
ミャンマーの巻きスカート「ロンジー」!ミャンマー女性の魅力を引き出す美しい伝統衣装
この村にはカレン族以外にも他の民族がいます。こちらはアカ族の女性。アカ族の人は個人的にとても商売熱心な印象があります。Baan Tong Luangでも他の民族のお店では向こうからは特に声をかけてくることはありませんが、アカ族だけは営業トークがはじまります(笑)ここでもすぐに声をかけてきました。
基本情報
Long Neck Karen
Unnamed Road, Mae Raem, Mae Rim District, Chiang Mai 50180
入場料:500バーツ
近いのでついでにタイガーキングダム チェンマイなどいかがでしょう
タイガーキングダムが首長族観光エリアにありますので、ついでに訪れてみてはいかがでしょう。このときは特にこちらから希望したわけでなく、ドライバーがなぜか寄って、まあせっかくだから見てこいよという感じでした。サービスというより、ドライバー仲間とだべっていたので、多分彼の休憩時間としてここに寄ったのでしょう。
このタイガーキングダム、どんな内容かといいますと、観光客が檻の中に入って虎を触っているところを撮影するという、度胸自慢的なものですが私は御免です(笑)
傍から見ていると結構シュールで面白いので、ソフトドリンクでも飲みながら眺めておりました。
タイガーキングダム チェンマイへのアクセス
タイガーキングダム チェンマイの場所はLong Neck Karenのすぐ近くになります。
マップ
基本情報
Tiger Kingdom Chiang Mai
住所:51/1 Moo 7 Rim-Tai, Mae-Rim Chiang Mai,50180/p>
営業時間:8:00 – 18:00
山岳民族が身近に感じるチェンマイの観光地
チェンマイに行くと街中にも山岳民族の行商を見かけます。行商はバンコクにもいますが、より街に溶け込んでいる印象でした。チェンマイ市内の飲食店で働いている普通の服装をした従業員で、自分はリス族だという人にも出会いましたし、やはり北部は文化圏が違うなと感じます。
そんな山岳民族にふれることができる首長族の村は、観光地としてつくられた環境ではあれ、自然の中で山岳民族の生活の一部を垣間見ることができます。
お伝えしたような批判はありますが、まずは異文化を持った人々との交流をニュートラルに体験してみるのが良いのではないでしょうか。個人的にはテレビや写真でしか見たことのなかった首長族と実際に接することができて、かなり有意義な時間であったと感じております。
Baan Tong LuangとLong Neck Karenは近いので、入場料が合計1000バーツとやや高めにはなりますが、セットで行くことをおすすめいたします。あと、気が向いた方はタイガーキングダム チェンマイも近いのでどうぞ。
>>タイ北部に来たなら、安心のJTBオプショナルツアーでゴールデントライアングルと山岳民族観光はいかがでしょう。首長族の村や国境の町を散策することができます。
この他、チェンマイ市内から必ずといっていいほど訪れるドイステープから行けるモン族の民俗村も是非おすすめです。詳しくは以下の記事をご覧ください。