タイ北部にある世界遺産スコータイ歴史公園は、悠久の歴史を持つ遺跡群やロイクラトンのフェスティバルでたいへん有名です。
スコータイ旧市街地の城壁内外に点在する、仏教寺院や仏像など見応えある遺跡の魅力と、その行き方や公園内のまわり方について詳しくご案内いたします。
スコータイ歴史公園について
スコータイ歴史公園は、タイで最初の独立王朝であるスコータイ王朝の都の跡地です。「スコータイの歴史上の町と関連の歴史上の町」として、1991年にユネスコの世界遺産に登録されました。
東西1.8km、南北1.6kmの長方形の城壁に囲まれており、城壁内外におよそ200基の遺跡が点在しています。
スコータイ様式
スコータイ遺跡には、スコータイ様式という王朝時代に開発された独特の様式の寺院や仏像があります。
特にスコータイ仏といわれる仏像は、全体的にシンプルなデザインで、女性的ななめらかな曲線、優しく微笑んだ表情などが特徴となっています。歩く姿勢の仏像(遊行仏)が現れたのもこの時代からです。
スコータイ歴史公園へのアクセス
スコータイ歴史公園へ新市街地や、スコータイバスターミナルから行く場合は、トゥクトゥクを利用します。
料金はおおむね100バーツ(約350円)。ホテルから呼んだトゥクトゥクは高めですが、高すぎると思ったら値段交渉してみましょう。
バスターミナルにはバイクタクシーのモータサイもいますが、それなりに距離がありますので、トゥクトゥクをおすすめします。
スコータイ空港からは乗り合いバンが出ていますので、予め車を手配していない場合は乗り合いバンでまずホテルまで移動します。
料金は新市街180バーツ、歴史公園のある旧市街は300バーツです。
バンコクからバンコクエアウェイズに乗ってスコータイに来る場合は、こちらの記事で詳しくご紹介していますのでご参考ください。
旧市街地のホテルには自転車を貸出しているホテルが多いので、旧市街地のホテルに宿泊している場合は自転車を借りてそのまま遺跡巡りが良いでしょう。
マップ
遺跡のあるエリア
遺跡は中心部である城壁内、そしてその北部、東部、南部、西部があります。この記事では最もポピュラーな城壁内、北部、東部についてご紹介いたします。
回る順番としては、レンタサイクルやトゥクトゥクのある歴史公園入り口から、(城壁内)→(北部)→(東部)が良いでしょう。
この順番はレンタサイクルでくれるマップでもおすすめしています。
まわる時間は、城壁内のだけでもじっくりまわると2時間以上かかります。できるだけ朝の涼しいうちからスタートするのがいいですね。
特に西部まで自転車でまわる予定の場合、過去ワット・サパーン・ヒンにおいて殺人事件がおきていますので、なるべく夕方などは避けましょう。
(ワット・サパーン・ヒン参照)
自転車でまわろう!レンタサイクル
スコータイ歴史公園をまわるのは自転車がおすすめ。自分のペースでのんびり景色をたのしみながらまわれるのがいいですね。そしてレンタル料もたいへん安いです。
歴史公園入り口付近にレンタルショップがありますので、まずは自転車を借りましょう。
レンタル料は30バーツ。100円くらいで閉館の18:00まで借りることができます。
こちらレンタルサイクルショップがくれるマップのコピー。正確な位置はGoogleマップで確かめながら行くのが間違いないですが、まわり方やおおよその位置がわかるので参考になります。
電動カートやトゥクトゥクもある
レンタサイクル以外には電動カートやトゥクトゥクがあります。この電動カート、中々快適そうで、レンタルしている人も多いです。カップルや友達、そして家族などでまわるには良さそうですね。 場所は歴史公園入り口の前あたりにあります。
料金は200バーツです。
歴史公園入り口
入場チケットは歴史公園入り口横にあります。
入場料は一人100バーツ。それに自転車乗り入れ料10バーツがプラスされます。その他のエリアでも自転車の乗り入れ料は加算されます。以下各エリアの入場料です。
城壁内 100バーツ(自転車乗り入れ 10バーツ)
北部 100バーツ(自転車乗り入れ 50バーツ)
西部 100バーツ(自転車乗り入れ 50バーツ)
ではいよいよ歴史公園の城壁内へ入場です。コロナ対策のため、タイチャナアプリへのアクセス、または記帳します。
城壁内の遺跡
ワット・マハータート Wat Mahathat
歴史公園に入ってすぐのおよそ200m四方の広大な周壁を持つワット・マハータートは、スコータイ王朝の王都跡であるスコータイ歴史公園の中心部で、最も重要とされる遺跡です。
スコータイ様式のハスのつぼみの形をした、巨大な仏塔チェディ(ベル型仏塔)があります。中央の仏塔の基壇には、仏陀の弟子たちの彫刻が施されており、台座には仏像が座しています。
ワット・マハータートではスコータイ仏を多く見ることができます。こちらはマハータートに入ってすぐの高台にある仏像。
個人的に一番好きなお顔をした仏像です。なんとも優しい表情で気持ちが安らぎます。プラ・アッタロートといわれるこの仏立像は高さ約12mとかなり巨大で、チェディを中央にして左右に2体あります。
様々な仏塔や仏像があるワット・マハータートは時間をかけてまわりたいですね。ただ逃げ場のない炎天下なので、日傘や水分補給など熱中症対策を心がけましょう。
ワット・シーサワイ Wat Sri Sawai
ワット・マハ タートの南西に位置しているヒンドゥー様式で建てられたものを後に仏教寺院として改築されたものです。
塔には様々な彫刻が施されており、とても存在感があります。
ワット・マイ Wat Mai
歴史公園の入り口に近い遺跡で、土台だけで上モノがなくなっています。
遺跡に上がってみると柱だけが残っており、仏像が安置されていた跡があります。
ラムカムヘン大王記念碑 King Ram Khamhaeng Monument
スコータイ王朝三代目の王であるラムカムヘン大王の記念像。ラムカムヘン王は、1279年から1298年までの間在位し、王朝に最大の繁栄をもたらしたと言われています。
スコータイやその周辺に来るといろんなラムカムヘン像を見ることができます。
ワット・サーシー Wat Sra Sri
歴史公園のほぼ中央にあり、池に浮かぶ小島に遺跡があります。
スリランカ様式の仏塔チェディと、そこに佇む仏像が印象的。
土台に上ると白く美しい坐像があります。
小島から橋がかけられ、さらに小さな島にある遺跡を見ることができます。この遺跡も柱と土台だけが残っています。
ワット・トラパングーン Wat Trapang Ngoen
目を引くこのユニークな仏像は、スコータイ仏の特徴である歩く姿勢をとった遊行仏といわれるもので、坐像や直立した仏像を見慣れた日本人からするととても新鮮です。品のある優美なそのすがたにしばし見入ってしまいます。
歴史公園城壁内 北側
ター・パー・デーンと、ワット・ソラサックは、歴史公園北側の柵が閉まっているため(常時かは不明)、歴史公園の外にでてまわることになります。
ター・パー・デーン Ta Pha Daeng Shrine
スコータイに現存する最古の建造物として知られるヒンドゥー教の祠で、12世紀前半、アンコールワットで知られるクメール朝のスールヤバルマン2世による建立とされています。
レンガで組み上げられた独特の造形は非常に存在感があります。
ワット・ソラサック Wat Sorasak
仏塔の土台の四方に計24頭の象の彫刻が飾られている遺跡です。
神に使える雰囲気のある象たち。彫刻関係は崩れたものを散見しますが、ここの彫刻はきれいに残っていますね。
城壁外の北部遺跡
ワット・シーチュム Wat Sri Chum
スコータイを象徴するアチャナ仏が祀られている寺院で、寺院名のシー・チュムは「菩提樹の森」を意味しています。
高さ15m、幅11.3mの大仏は、圧倒的な迫力と、仏教宇宙を感じさせる神秘性に満ちています。
入り口で100バーツ支払いチケットを購入します。この100バーツのチケットは、ワット・プラパイルアンとの通し券となります。(別途自転車持ち込み料)
仏堂に近づくと隙間から大仏の顔がのぞいています。現実的でない風景を見ている感じがして、強い力で引き寄せられるような不思議な気分になります。
寺院内に入ると見上げる大きさのアチャナ仏が安置されています。天井はなく、自然の光が差し込んでいます。
大仏の手と人で、その大きさがわかりますね。
マップ
ワット・プラパイルアン Wat Phra Pai Luang
ワット・プラパイルアンは、まだクメール支配の時代、ジャヤーヴァルマン7世の統治時代に構築された市内最大の寺院でした。スコータイ王朝成立後はその宗教的役割を失うことになります。
寺院複合体の外堀は南北600m、東西675mと広大で、2重の堀に囲まれています。クメール文化からタイ文化への移行を研究するため、重要な寺院として1965-1966年に修復されています。
入り口で100バーツを支払い、橋を渡って入場します。この100バーツのチケットは、ワット・シーチュムとの通し券となります。
西部もあわせてまわる場合、順番としては、ワット・プラパイルアン→ワット・シーチュムがスムーズでしょう。
巨大な遊行仏があったと思われる仏堂の跡があります。
ピラミッド型のチェディと仏堂の跡は、宗教の中心地であった古の時代を想起させます。
東を向いた仏塔が3つあり、良好な状態で残っているのはこの仏塔のみ。
マップ
城壁外の東部遺跡
ワット・サパーン・ヒン Wat Saphan Hin
ワット・サパーンヒンは、標高約200mの丘の上にある寺院で、寺院名のサパーンヒンは「石の橋」を意味しており、実際に寺院まで坂道にある石畳を上っていきます。
ラムカムヘンがスコータイの首長となるため、学識ある高僧を招き、その住居としてワット・サパーンヒンを建てたとされています。
Unnamed Roadに入ってすぐ、西部の遺跡のチケット売り場がありますので、100バーツ支払って進みます。(別途自転車持ち込み料)
延々と続く石畳の坂の上に本堂があります。中々息が切れる長さ。
頂上からの眺め。緑豊かなスコータイの風景が広がります。
仏堂跡には高さ12.5mの大きなプラ・アッタロート(仏立像)があります。
邦人女性殺害事件
2007年11月、ワット・サパーン・ヒンにおいて、旅行で来ていた日本人女子大生が刺殺されているのが見つかりました。当時ひと気のないこの遺跡では目撃者はおらず、所持品が盗まれていることから、強盗の可能性で調査され、容疑者が捕まりましたが、DNA鑑定を行うも犯人と断定できていないとのことです。
その後ワット・サパーン・ヒンでは見張りの警備がつくようになったようで、私が行ったときも一人男性が丘の下の詰所にいました。
被害に遭った女性は、一人だけで自転車で遺跡巡りをしていたとのことで、やはり女性一人でひと気のない遺跡に行くのはリスクがあります。
この辺はできればドライバー付きのトゥクトゥクなどで訪れるのが良いかと思います。
マップ
ワット・カオ・プラ・バット・ノイ Wat Khao Phra Bat Noi
ワット・サパーン・ヒンから更に進むと、同じく丘の上に祠のある遺跡があります。
時間があれば寄ってみよう
ラムカムヘン国立博物館
歴史公園入り口付近にあるラムカムヘン国立博物館は、スコータイ周辺の発掘された仏像や碑文、精巧な彫刻などが展示されています。
ワット・トラパントーン Wat Trapang Thong
金の池の僧院を意味するワット・トラパントーンは、歴史公園の入り口前の道路沿いにある池に浮かぶ人工の島にあります。スリランカ様式の巨大な仏塔を見ることができます。
ストリートアート
ワット・トラパントーンの近くにあります。スコータイ文化や生活の様子などを壁に描いた作品が通りに並びます。インスタ用にいかがでしょう。
スコータイ歴史公園のライトアップ
土曜の夜はナイトマーケットが歴史公園内で行われますので、露天に近い一部の遺跡のみライトアップされています。
(2020年11月 再開時期未定)
悠久の歴史を肌で感じる
スコータイ歴史公園はスコータイ王朝の文化の結晶ともいえる遺跡をじっくり鑑賞することができます。
ここでご紹介した遺跡以外にも、城壁内、東部、南部にはまだまだたくさんの遺跡がありますので、弾丸ツアーもいいですが、是非余裕のある日程でたのしんでもらえたらと思います。
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基本情報
Sukhothai Historical Park
住所:Mueang Kao, Mueang Sukhothai District, Sukhothai 64210
営業時間:8:00 – 18:00(各サイト案内が異なる要確認)